看護助手さんがたくさん、働いています。
車椅子の患者さんが検査に行くときに、ついていってくれたり、
お食事を手伝ってくれたり。
エレベーターの中にはいったとたんに、
あ、なんだかあたたかい空気。
おばあちゃんの患者さんと、車椅子をおす看護助手さんです。
ふたりは歌うように、話しています。
「きょーうは、たーくさんあるから、わーるいねー」
「そーうですねー、ほんとうにー、けーんさにいくーのもー、ひとーしごとですねー」
「そーうだよねー、たーくさんあるーからー」
「むーりをしなーいで、たよっていいーんですよーつかれるでーしょうー」
「でーもつーいーねー、むーりをしてーしまうのーよーねー」
「そーうですねーしょうぶんといーうのが、あーりますのもーのねー」
なんだかすごく不思議な気持ちになりました。
同じように、患者さんと助手さんが院内を移動するときに、
そのやりかたが、
"はこぶ"という表現が合う場合も、"お届けする"という感じの場合も、
いろいろあるなと思うのですが、
"うたうように"ふたりがいて、お世話する人とされる人、みたいな上下がほんとうに感じられず、
なんというか、ふたりとも楽器のようでした。
ひとつの名目が同じ仕事でも、立場でも、役職でも、給料でも、時間でも、資格でも。
ああこんなふうに、できるんだ、と、
エレベーターのなかで、じーんとしていました。
また、逢いたいなぁ。
つぎは、声を、かけてみよう。
(小児科医 山口有紗)
山口先生のきょうの診察室への想いについてはこちら。
https://www.kidsrepublic.jp/pediatrics/today/detail/vol00.html
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<プロフィール>
小児科医師。専門は子どものこころ。
目指しているのは、「子どもとその周囲が、少ししんどいときにこそ、安心してつながることのできる社会」。
高校を中退後、単身渡英し、ロンドンのインド人病院でボランティアを行う。
帰国後は京都で働きながら児童養護施設や不登校の子どもとかかわる。
大学入学資格検定に合格後、立命館大学国際関係学部で開発支援や母子保健を学び、約30の国や地域を歴訪。
卒後山口医学部に編入し、医師免許取得。国立国際医療研究センター病院小児科コース研修医、東京大学医学部附属病院小児科、茅ヶ崎市立病院小児科を経て、2017年4月より国立成育医療研究センターこころの診療部や児童相談所などで子ども・家族のこころの診療に従事。
診療の傍ら、子どもに関わる多様な専門家がつながるコミュニティ「こども専門家アカデミー」を主宰している。
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