ある女の子を待合室にお迎えに行くと、遊んでいたおもちゃを片づけて、
うれしそうについてきます。
「あのね、、、!」
うん?
「おかあさんがにゅういんしているときにね、わたしおもちゃであそんでまっていたの、、、!」
おおお、そうなの??お母さん入院していたんですか??大変でしたね!
お母さん、笑いながら言います。
「さっきわたしが別件で内科を受診していたので、その時に待っていたことを言っているんだと思うんですね」
彼女もいろいろあって、入院をなんどかしたことのあるお子さんです。
病気をなおすために家族とちょっと離れる→にゅういん、ということなのかも。
診察室に入っていくお母さんと離ればなれになるのは、
彼女にとっては、「お母さんが入院した」、っていうことだったんだなぁ。
その様子を誇らしく語ってくれた彼女がいとおしく、
医者の枠でのいろんな単語を見直す機会をもらって、なお感謝の夕方でした。
(小児科医 山口有紗)
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<プロフィール>
小児科医師。専門は子どものこころ。
目指しているのは、「子どもとその周囲が、少ししんどいときにこそ、安心してつながることのできる社会」。
高校を中退後、単身渡英し、ロンドンのインド人病院でボランティアを行う。
帰国後は京都で働きながら児童養護施設や不登校の子どもとかかわる。
大学入学資格検定に合格後、立命館大学国際関係学部で開発支援や母子保健を学び、約30の国や地域を歴訪。
卒後山口医学部に編入し、医師免許取得。国立国際医療研究センター病院小児科コース研修医、東京大学医学部附属病院小児科、茅ヶ崎市立病院小児科を経て、2017年4月より国立成育医療研究センターこころの診療部や児童相談所などで子ども・家族のこころの診療に従事。
診療の傍ら、子どもに関わる多様な専門家がつながるコミュニティ「こども専門家アカデミー」を主宰している。
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