きょうの診察室

Vol.54

一生走れないかと思った

心臓の病気の定期的なフォローにいらした男の子。
きょうは、走りながら心電図をとる検査です。
この検査で異常がなければ、外来にもうこなくていいでしょうという、
その子にとっては節目の検査になります。
わたしは主治医ではないのですが、検査の付き添いだけ担当させていただいていました。

これは結構大変で、ジムのランニングマシーンみたいなもの上で走るのですが
どんどん速度が増していきます。
とちゅうで、「もうむりー」となるお子さんもいます(運動が苦手なわたしは横で、うんうん、と思います)。

その男の子は強くて、いちばん最後のレベルまで走りぬいて検査を終えました。

「すごいねえ、とちゅうでおしまいにする子もいるけど、がんばったねえ。」
とお子さんに声をかけて、お母さんに、
「色々あったと思うけれど、こんなに走れるって幸せですね」
とお伝えすると、

「当初は、インターネットなどで調べまくって、この子は一生障害を背負って、
走ることなんてできないと思っていたから、不思議な気持ちです。ありがたい」
とお話しされていました。

よこで男の子ははにかんで聞いています。

実際にはその病気で一生走れないというのは、非常にまれなことです。
でも、わたしたちが病状説明をしたそのあと、
ご家族がお子さんの将来についてどんなイメージをふくらませて、
どんな気持ちで時間を過ごしているのか、、、

ご家族の想いを、垣間見させていただいた気がしました。
診察室を出たそのあとの表情も、いっしょに共有できるような、仲間でいられたらうれしいです。

(小児科医 山口有紗)

山口先生のきょうの診察室への想いについてはこちら。
https://www.kidsrepublic.jp/pediatrics/today/detail/vol00.html



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<プロフィール>

小児科医師。専門は子どものこころ。
目指しているのは、「子どもとその周囲が、少ししんどいときにこそ、安心してつながることのできる社会」。
高校を中退後、単身渡英し、ロンドンのインド人病院でボランティアを行う。
帰国後は京都で働きながら児童養護施設や不登校の子どもとかかわる。
大学入学資格検定に合格後、立命館大学国際関係学部で開発支援や母子保健を学び、約30の国や地域を歴訪。
卒後山口医学部に編入し、医師免許取得。国立国際医療研究センター病院小児科コース研修医、東京大学医学部附属病院小児科、茅ヶ崎市立病院小児科を経て、2017年4月より国立成育医療研究センターこころの診療部や児童相談所などで子ども・家族のこころの診療に従事。
診療の傍ら、子どもに関わる多様な専門家がつながるコミュニティ「こども専門家アカデミー」を主宰している。

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