いろんな「くせ」のあるお子さんがいらっしゃると思います。
においをかいだり、口の周りをなめたり、鼻をすすったり。
Aちゃんは、とっても好奇心旺盛でやさしい子です。
ある日お母さんから相談がありました。
手の指をがしがしと噛んでしまって、注意していちどおさまっても、また気がついたら噛んでいて、とっても気になるとのこと。
「噛むのを何とかやめさせなきゃと思うのですが、どうしたらいいかなぁと困っていて、、、」
こうした「くせ」について、わたしはご家族とこんな風に考えます。
その「くせ」は、その子にとって、なにを「与えて」くれているんだろう。
一見悪いものに見えるかもしれないけれど、
もしかしたらお子さんにとっての癒しの時間であったり、彼彼女なりのコーピングの方法であったりするのかもしれません。
なにか言いたいことがあるとき、緊張したとき、寝不足、どんなときに多いかな?
あるいは、どんなときはやっていないかな?
その子の生活の中での意味という視点でみると、
むしろおとなに何かを伝えてくれるヒントになっていることもあります。
もちろん、くせに付随する弊害がある場合には、対処が必要なこともあると思います。
でも、まずは、その子がそれを選んでいる理由を、いっしょに考えていきたいな。
子どもの行動を、評価の対象ではなく、だいじなサインとして受け止めるおとなでいられたら。
そうすることで、それを愛情をもって心配している周りのひとも、ちょっとだけ楽になれるのかな、と思っています。
(小児科医 山口有紗)
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<プロフィール>
小児科医師。専門は子どものこころ。
目指しているのは、「子どもとその周囲が、少ししんどいときにこそ、安心してつながることのできる社会」。
高校を中退後、単身渡英し、ロンドンのインド人病院でボランティアを行う。
帰国後は京都で働きながら児童養護施設や不登校の子どもとかかわる。
大学入学資格検定に合格後、立命館大学国際関係学部で開発支援や母子保健を学び、約30の国や地域を歴訪。
卒後山口医学部に編入し、医師免許取得。国立国際医療研究センター病院小児科コース研修医、東京大学医学部附属病院小児科、茅ヶ崎市立病院小児科を経て、2017年4月より国立成育医療研究センターこころの診療部や児童相談所などで子ども・家族のこころの診療に従事。
診療の傍ら、子どもに関わる多様な専門家がつながるコミュニティ「こども専門家アカデミー」を主宰している。
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