きょうの診察室

Vol.23

あなたは、いいこだよ

こわくて、学校にいけない。
悪口を言われる。バイキンだって言われる。にらまれてる気がする。

きょうはなんで、来てくれたの、と聞くと、
「自分の、ひととうまくできないところや、悪いところを、直したいから」

口をぎゅっとしめ、じんわり涙が浮かんでいます。
思わずその子の手をとります。

「あなたは、いい子だよ、大丈夫、じゅうぶんがんばってる、よくきてくれたね」

学校に行くのは大切です。
わたしは高校中退だったので、学歴の大事さはよくわかるし、
勉強以上に素敵なものが学校にあっただろうという羨望のようなものもあります。

でも、学校に行けるかどうかは、たくさんの評価のうちのひとつです。
その子は、料理をいろいろ知っていて、歴史が好きで、挨拶がちゃんとできる、素敵な子でした。

身近な人にもできることがたくさんあります。
自信がないとき、八方ふさがりな気がしているときにほしいのは、
「自分が大丈夫で大事な存在」だと、(伝える側の人に自信がなくても)くりかえし伝えてくれること、かもしれません。

不登校で悩むときには、ご家族も自信をなくしていることも多いです。
でもというか、だからというか、
あなたはいい子、大丈夫、と、伝えてあげてください。
子どもにも、ご家族自身にも。

あなたはいい子、大丈夫。
お母さんもいい子、大丈夫。
お父さんもいい子、大丈夫。

(小児科医 山口有紗)



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<プロフィール>

小児科医師。専門は子どものこころ。
目指しているのは、「子どもとその周囲が、少ししんどいときにこそ、安心してつながることのできる社会」。
高校を中退後、単身渡英し、ロンドンのインド人病院でボランティアを行う。
帰国後は京都で働きながら児童養護施設や不登校の子どもとかかわる。
大学入学資格検定に合格後、立命館大学国際関係学部で開発支援や母子保健を学び、約30の国や地域を歴訪。
卒後山口医学部に編入し、医師免許取得。国立国際医療研究センター病院小児科コース研修医、東京大学医学部附属病院小児科、茅ヶ崎市立病院小児科を経て、2017年4月より国立成育医療研究センターこころの診療部や児童相談所などで子ども・家族のこころの診療に従事。
診療の傍ら、子どもに関わる多様な専門家がつながるコミュニティ「こども専門家アカデミー」を主宰している。

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