慢性疾患、とくに慢性のいわゆる難病をかかえた子どもの診療において、
ご家族はとても強い味方です。
私たち医療者にできるのは、一般的な科学的根拠と、現在の患者さんの状態をてらし、より適切なサポートを探すことです。
でも、ご家族の「第六感」のようなものは、
私たちの力がとてもおよばないほどの繊細なものだと感じることがしばしばあります。
けいれんが止まらない、難治のてんかんのお子さん。
もう、お母さんがいちばんよく、彼のことを知っているので、
薬の種類やタイミングも、はじめから一緒に相談します。
4種類目のお薬を使おうか、悩んだとき。
「いま落ち着いた顔だから、すこし薬なしで様子をみていいですか」
そしてそのあと、状態がやっと落ち着きました。
難病だけ、病気だけではないと思います。
ご家族は子どものいちばんの専門家です。
あるいは、ご本人はもっと、自分の専門家かも、しれないけれど。
専門家どうしの連携を考えるときには、
ご家族やご本人も主な「専門家」として、協働することが大切だと、
日々感じて仕事をしています。
(小児科医 山口有紗)
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<プロフィール>
小児科医師。専門は子どものこころ。
目指しているのは、「子どもとその周囲が、少ししんどいときにこそ、安心してつながることのできる社会」。
高校を中退後、単身渡英し、ロンドンのインド人病院でボランティアを行う。
帰国後は京都で働きながら児童養護施設や不登校の子どもとかかわる。
大学入学資格検定に合格後、立命館大学国際関係学部で開発支援や母子保健を学び、約30の国や地域を歴訪。
卒後山口医学部に編入し、医師免許取得。国立国際医療研究センター病院小児科コース研修医、東京大学医学部附属病院小児科、茅ヶ崎市立病院小児科を経て、2017年4月より国立成育医療研究センターこころの診療部や児童相談所などで子ども・家族のこころの診療に従事。
診療の傍ら、子どもに関わる多様な専門家がつながるコミュニティ「こども専門家アカデミー」を主宰している。
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