きょうの診察室

Vol.07

せんせいを、たすけてね

診察は子どもとの共同作業です。
共同作業をするときには、お互いの仕事がわかっていると、あーわたしはここに、あなたはそこに、役立っているなということが見えやすくなって、連携がふかまります。

最近は、子どものもしもしをするときに、洋服をまくりあげたところを、自分で持ってもらうようにしています。

「じゃーもしもしのあいだ、●ちゃんはここをもって、せんせいを、たすけてね」
うん、とうなずいて、協力してくれる子どもがほとんどです。

お母さんの手が出そうになったら、先にぱっと子どもの手を取って服にあて、
「おお、助かる、ありがとう」と先に褒めてしまうと、お母さんも見守ってくれます。

これは3歳くらいからできることが多いのですが、5歳くらいになると、後ろのもしもしのときに、気を利かせて服をひっぱったり、手を後ろに回そうとしてくれて、じーんとします。

もしもしが終わり、感謝を告げると、子どもたちはとても誇らしげに、次のお口あーんにも協力してくれようとします。

受け身ではなく、自分のからだへの連続感を持ち続けながら、感謝されたり、自己効力感を高めたりできる診察室。

子どもたちにアイデアを得ながら、協力して、つくっていきたいな。
いつも助かってるよ、本当にありがとうー!

(小児科医 山口有紗)



<感想募集>

「きょうの診察室」の感想や山口先生への一言メッセージをお待ちしています。こちらのリンクよりお寄せいただけると嬉しいです。
https://goo.gl/forms/VwpFji8HPIfAW5sI3

<プロフィール>

小児科医師。専門は子どものこころ。
目指しているのは、「子どもとその周囲が、少ししんどいときにこそ、安心してつながることのできる社会」。
高校を中退後、単身渡英し、ロンドンのインド人病院でボランティアを行う。
帰国後は京都で働きながら児童養護施設や不登校の子どもとかかわる。
大学入学資格検定に合格後、立命館大学国際関係学部で開発支援や母子保健を学び、約30の国や地域を歴訪。
卒後山口医学部に編入し、医師免許取得。国立国際医療研究センター病院小児科コース研修医、東京大学医学部附属病院小児科、茅ヶ崎市立病院小児科を経て、2017年4月より国立成育医療研究センターこころの診療部や児童相談所などで子ども・家族のこころの診療に従事。
診療の傍ら、子どもに関わる多様な専門家がつながるコミュニティ「こども専門家アカデミー」を主宰している。

便利でお得なキッズリパブリックアプリのダウンロードはこちら。

きょうの診察室一覧へ戻る