産婦人科オンラインジャーナル

2023.02.15

肩こりや腰痛に悩まされているパパ・ママ必見!~身体に負担のかからない育児動作のポイント~

1日の中で何度も繰り返す授乳やおむつ交換。ずっと抱っこなんて日もあったりしませんか?

気付かないうちに身体の負担が積み重なり、肩こり、腰痛、、身体のあちこちが痛い!と感じているパパやママもきっと多いはずです。

そこで、なるべく身体に負担のかからない育児動作のポイントをいくつかお伝えしていきます。

■猫背、反り腰に気を付け、正しい姿勢を意識してみましょう

赤ちゃんを立って正面で抱っこするときに、反り腰になってしまったり、どちらかの骨盤に乗せるようにして横に抱っこしたりしたりすることはありませんか?また、母乳やミルクを与える際にも、赤ちゃんに近づこうと前かがみになったり、座ったときに足を組んで赤ちゃんとの高さを調整したりしていませんか?

本来の人の身体は、首~背骨~腰骨(脊柱)を横から見たとき緩やかなS字カーブを描くようにしてバランスを保っています。しかし、極端に脊柱が曲がった無理な姿勢を繰り返していくと、首や腰に負担がかかり、肩こりが生じるだけでなく、腰痛、骨盤帯の痛みが生じたりすることもあります。また、足を組んだまま赤ちゃんを膝の上に乗せると、パパやママの体幹や骨盤の左右どちらかに不均衡な重さが加わるため、身体の痛みや歪みが生じたりすることもありします。

抱っこや授乳の際に意識してほしい、正しい姿勢の目安は下記の通りです。

(立位時) 耳→肩→大腿骨外側の一番出っ張たところ(大転子)→外くるぶしが一直線上にある

(座位時) おでこ→胸→恥骨が一直線上にある

これを目安に普段の自分の姿勢をチェックしてみてください。まっすぐ立っていている状態だとお腹と臀部(お尻)に程よく力が入っていればOKです。

また授乳の際に赤ちゃんとの距離や高さが合わない場合は、厚めのタオルや授乳クッションなどを利用して高さを調整し、姿勢が崩れず自分が楽に授乳できているか、という視点も意識してみるとよいかと思います。

■抱っこ紐を使う際は付ける位置や立ち方に注意してみましょう

抱っこ紐は身体の負担を軽減するために有効ですが、以下のように様々なタイプがあります。

・両肩と腰に紐がついている一般的な抱っこ紐タイプ

・片側の肩にかけて使用するスリングタイプ

・帯紐のように長く、身体に巻いて使用するタイプ

どのタイプでもそうですが、できるだけ身体に負担がかからないよう以下の項目をチェックしてみてください。

☑ 肩ひもがゆるすぎないか

☑ 抱っこ紐をした状態で腰が反っていないか

☑ 付け方に左右差があって、左右不均衡な力がはいっていないか

両肩と腰に紐がついている一般的な抱っこ紐タイプの場合は、赤ちゃんが低すぎる位置だと、重力が肩に大きくかかるため、肩こりが辛くなる場合があります。赤ちゃんのお尻がちょうどパパやママのウエスト部分にくるように腰紐を付けると、肩と腰に重力が分散され、一か所に重力が集中せず抱っこが楽になります。

片側の肩にかけて使用するタイプのスリングは、軽くて持ち運びに便利で、赤ちゃんを寝かせた後に床におろしやすいなどのメリットもありますが、片側の肩に負担がかかりやすいため、斜めに立ってバランスをとってしまいがちです。使用する際はできる限り両足でしっかり立ち安定した姿勢をとったり、両肩に交互にかけて使用したりすることを意識するとよいかもしれません。

■床から赤ちゃんを抱き上げるときは、片足の膝をついて、赤ちゃんを体幹に引き寄せてから立ちあがりましょう

床にいる赤ちゃんを立位の姿勢から抱き上げるとき、腰を曲げて腕の力で持ち上げようとすると、腰部への負担が大きくなります。床から赤ちゃんを抱き上げるときは、片側の膝を曲げて床につき、自分の背中がまっすぐになるまで赤ちゃんを近づけてからゆっくり立ち上がるようにすると、無理なく抱き上げることができ、おすすめです。

またベビーベッドやシンクで沐浴をする際に高さが身長に合わないと、腰を深く曲げる機会が多くなり腰痛の原因になることがあります。身長より低い位置で作業する場合は、なるべく足幅を広げ、体重を支えるための床面積(支持基底面)を広くすると安定し、さらに膝を曲げ重心を低くすると腰に負担がかからず楽にできます。

体調がいいときは、凝り固まっている筋肉をほぐすため、ストレッチやヨガなども大切です。がんばっているパパやママは、特に自分のことは後回しにしがちです。痛みが辛い場合は無理をせず、周りにできる限り頼ったり、無理をせず悪化する前に医療機関へ受診したりしましょう。

小さな工夫の積み重ねで、身体への負担が軽くなることもあります。疲労が蓄積する前に予防をしていくことが大切です。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(助産師 齊藤麻木)

Sling-based infant carrying affects lumbar and thoracic spine neuromechanics during standing and walking.

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