産婦人科オンラインジャーナル

2022.10.05

妊娠中の貧血 ~お母さんだけでなく赤ちゃんにも悪影響がある場合があります~

女性の多くは、妊娠する前から貧血ぎみの方が多いのではないでしょうか?ただし、妊娠中の貧血は放置しないように注意が必要です。今回は、赤ちゃんの体を作るのに大切な鉄分や貧血について解説していきます。

■妊娠中の重症貧血は、早産や赤ちゃんの低体重につながることも

妊娠中は、赤ちゃんのために栄養を十分にとる必要があります。鉄分もその一つで、妊娠すると赤ちゃんの体を作るために必要量が増える栄養素です。
鉄は、妊娠前は1日10.5mg必要ですが、妊娠初期は13mg、妊娠中期~後期は20mgと約2倍の量が必要となります。
妊娠中に鉄分が不足し重症貧血になった場合、早産や低出生体重児(生まれた時の体重が2500g未満)のリスクが高くなります。

■妊娠中に出やすい貧血症状は「動悸・疲れ・氷が食べたくなる」

妊娠中の採血でヘモグロビン値が11.0g/dlより小さい、またはヘマトクリット値(血液の濃さ)が33%より小さい場合、貧血と診断されます。

貧血になると、動悸、息切れ、疲れやすいなどの症状がでます。妊娠中は特に、動悸(心臓がドキドキすること)や倦怠感(疲れやすい)、異食症(氷が食べたくなる)などの症状が出やすいです。これらの症状があるときは、貧血の可能性が高くなります。

■妊娠中は鉄のサプリメントを上手に活用して

鉄分を多くとるためには、ヒジキ,ホウレンソウ、お肉(鶏肉、牛肉)、小松菜などがお勧めです。レバーはビタミンAが含まれているため、妊娠初期は沢山食べないように注意してください。

ただし、食事だけで必要な鉄分を全部とることは難しいのが現実です。そのため、鉄分の入ったサプリメントを上手に活用しましょう。妊娠初期は特に葉酸のサプリメントもお勧めです。

妊娠中は、赤ちゃんの体を作るために鉄分がとても大切です。食事だけで必要な鉄分をとることは難しいことも多いため、サプリメントも上手に活用しましょう。

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(産婦人科医 柴田綾子)

鉄剤の適正使用による貧血治療指針
日本人の食事摂取基準(2020年版)

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