お子さんの小さな可愛らしい歯がお口の中に生え始めると、成長を喜ぶ反面、「あれ、歯磨きっていつから始めればいいの?」と不安に感じる方がたくさんいらっしゃいます。また、「仕上げ磨きを嫌がる」「歯ブラシを噛んですぐ毛先が広がってしまう」など、歯磨きに関するお悩みを数多く耳にします。ここでは、そんな歯磨きに関する疑問に徹底的にお答えしていきます!
■前歯が生え始めたら、まずはガーゼなどで口の中を触られることに慣れてもらいましょう
乳歯は生後半年頃から生え始めますので、これが歯磨きの準備を始める合図です。一日のうち歯磨きのタイミングは、お子さんの機嫌や保護者の方の余裕に合わせてOK。理想は離乳食が始まったら毎食後ですが、特に寝ている間は唾液の分泌量が減り、むし歯の原因菌が増えやすいので、寝る前の歯磨きを習慣化できるといいですね。
お子さんの姿勢は、保護者の膝の上や両膝の間に頭が来るように仰向けに寝かせます。はじめは歯ブラシは使わず、きれいに洗った指や、指に清潔なガーゼを巻きつけたり、綿棒を使ったりして、口の中を触れられることに慣れてもらいましょう。
慣れてきたら、ヘッドが小さい乳児用の歯ブラシで歯に数回触れてみましょう。出来そうだったら少しずつ磨く時間を延ばし、最終的な目標は歯1本5秒くらいです。嫌がるときは無理に磨かなくて大丈夫。この時期は、あくまでも歯磨きの習慣をつけるのが目的です。
■歯磨きのポイント~磨き残しやすい箇所と一人磨き時の注意点~
2歳未満の歯磨きで汚れが残りやすいと言われているのは、
・歯と歯の間
・歯と歯肉(歯茎)の間
・奥歯の溝
などです。このような箇所は特に意識して磨きましょう。
また、成長に伴ってお子さんが自分で磨きたがることもあるかもしれません。しかし、磨き残しなく歯ブラシを扱えるようになるのは、まだまだ先です。新品の歯ブラシを渡してもガジガジ噛んですぐに毛先が開いてしまう。そんな時には、仕上げ磨きに使用して毛先が開いてしまった歯ブラシを一人磨き用に持たせるのがおすすめ。お子さんの自主性を尊重し、自分で磨く楽しみを感じてもらいましょう。
一人磨きをする時に注意が必要なのは、立ったり歩いたりソファに座って磨かず、床に座って磨くことです。歯ブラシを持ったまま転倒する喉突き事故は3歳以下で特に多く発生しています。喉突きによって外傷や呼吸困難などが起こり、長期間の入院治療に繋がることもあります。
お子さんが一人で歯を磨く時は、「床に座った状態で」「保護者の方が見守り」「喉突き防止用の歯ブラシを使う」など工夫しましょう。
■仕上げ磨きを嫌がったときの対応:3つのポイント
お子さんの自我が出てくると、仕上げ磨きを嫌がる…というお悩みを数多く伺います。いくつか対策を挙げてみましょう。
1.痛みのないような磨き方で
磨く力が強すぎたり、痛みを感じたりする部分をゴシゴシ磨いていないでしょうか?歯ブラシはペンを持つような持ち方にすると、余計な力が入りません。また、上唇をめくった時に前歯の真ん中にあるヒダのような部分を無理に触らないことが大切です。このヒダは上唇小帯と呼ばれる粘膜で、指などが当たると痛みを感じることがあります。この部分は避けたり、保護者の方の指でカバーしたり、歯ブラシが当たらないようにして磨いてみましょう。
2.「いーち、にーい、さーん」と3つ数えたら一度歯ブラシを口から出す
仕上げ磨きの時に、歯ブラシを口に入れ続けていませんか?我々も歯医者さんで器具を口に入れられたままだと、唾液が溜まったり口の中が乾いたりして苦しいですよね。ゆっくり3つ数えたら一度口から歯ブラシを取り出し、休憩時間を設けてみましょう。
3.楽しい雰囲気で
保護者の方は集中してつい真剣な表情(時に怖い顔)になりがちです。できるだけ笑顔で、歌を歌ったり、上手にできていることを褒めたりしながら、楽しい雰囲気で歯磨きタイムを過ごしてみませんか?
上手な歯磨き習慣のためには、歯が生え始めたらガーゼや指で口の中を触ることから始めてみましょう。また、お子さんが楽しく歯磨きできるよう、歯ブラシを口の中に入れている時間や磨き方を見直し、事故が起こらないような工夫も大切ですね。
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(助産師 中村早希)
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