産婦人科オンラインジャーナル

2021.08.11

産後の授乳に向けて妊娠中にできることは?~妊娠中のおっぱいの変化とケアの方法~

産後はおっぱいをあげたいけれど、今のうちになにかできることはあるの?あまり触らない方がいいのかな・・と、気になっている妊婦さんもいらっしゃるのではないでしょうか。今回は妊娠中のおっぱいの変化とケアの方法についてお話します。

■妊娠初期からおっぱいは徐々に変化し、妊娠中期にはおっぱいの準備が完了します

妊娠初期(~妊娠15週頃)は、妊娠ホルモンの影響と乳房内の構造変化によって、乳首と乳房が敏感となり、ヒリヒリしたり痛みを感じることがあります。また、乳輪部が大きく色が濃くなり、モントゴメリー腺という乳輪上の小さな凹凸やブツブツができていきます。モントゴメリー腺からは乳首・乳輪部を保護する保湿オイルのような分泌物が出ると言われ、感染症や痛みから守ってくれる役割を果たします。

妊娠中期(妊娠16~27週頃)には、乳房内の乳腺が発育し母乳が作られ始め、おっぱいの準備は完了すると言われています。早いと妊娠12~18週頃に黄色い粘り気のある初乳が出ることがあります。乳房が大きくなり皮下組織が伸びることによって、乳房に妊娠線ができることもあります。

■乳首は清潔にし、ゆったりとした下着を着け快適に過ごしましょう

妊娠中のおっぱいケアの基本は、乳頭を清潔に保つことです。石鹸を泡立て優しく洗いましょう。乾燥が気になる場合は、保湿クリームを塗るのも良いでしょう。

初乳が出ている場合は、乾燥し乳首の表面にかさぶたのように着いてしまうとおっぱいの出口を塞ぐ原因となってしまいます。乳垢があるときは、オリーブオイルなどに浸した綿を乳首に15分ほどあてた後で入浴し、ガーゼなどで優しく拭きとり洗うようにしましょう。

また、乳腺の発達の妨げにならないよう、乳房を締め付ける下着を避け、ゆったりとした妊婦用のブラジャーを着用するようにしましょう。また、妊娠線予防のためには保湿クリームを塗って乾燥を防ぎましょう。

■妊娠36週を過ぎたら、積極的に乳頭マッサージを行いましょう

生まれてすぐから赤ちゃんがおっぱいを吸えるよう、乳首を赤ちゃんの吸いやすい柔らかさにしておくことが大切です。乳首の刺激は子宮収縮に繋がる可能性があるので、妊娠10ヵ月頃から行っていきましょう。(なお、帝王切開の予定がある方などは、乳頭への刺激を控えた方が良いと病院から指導される場合があります。必ず、ご自身の状況を担当医に確認しておきましょう。)

<乳頭マッサージの方法>
できるだけ柔らかい状態に近づけることが大切です。回数制限などはありませんので、できる範囲で行いましょう。
①マッサージをする方の乳房と同じ方の手で乳房を持ち上げる。反対の手の親指、人指し指、中指の腹でCの字を作るようにし乳首・乳輪部を掴む
②通常3秒程度、乳首が硬ければ5~10秒かけて徐々に圧(爪の先端が白くなる程度)を加え圧迫する
③圧迫した状態で横方向、縦方向にこよりを作るようにして揉みずらす
④指の位置を変え様々な角度で①~③を行う

産後の授乳がスムーズに始められるよう、できる範囲で行ってみてください。乳頭の形によっては、個別のアドバイスが必要な場合もあります。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(助産師 米澤 友里恵)

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