産婦人科オンラインジャーナル

2021.03.26

妊娠中にできる色素斑(シミ)と妊娠線の対策とは?

妊娠中の皮膚の変化は、ホルモンバランスの変化やお腹の膨らみなどによって、どんな方にも出てくる可能性があります。普段の健診ではあまり先生に聞きにくいことでも、気になるのは当然。今回は色素斑(シミの一種)と妊娠線を中心に皮膚の変化やその対策をまとめました。

■妊娠中には多くの皮膚変化やトラブルが生じます

多くの女性では、妊娠中に何らかの皮膚変化やトラブルを経験します。
主なものは、以下の通りです。
・乳房や乳頭の黒ずみ(色素斑)
・鼻やおでこ、頬のシミのような茶色い色素斑
・お臍から恥骨への黒っぽい線状の色素斑
・妊娠線(主に腹部に生じるひび割れのような線)
・ニキビ(尋常性ざ瘡)
・クモの巣状静脈
・下肢静脈瘤(足の静脈が拡張してできるコブ)
・爪や髪の変化

■色素斑の予防のためには日焼け対策を

色素斑の原因のベースには妊娠によるホルモンの変化がありますが、それ以外にも要因があります。
乳房や顔にできる色素斑は、体内のメラニンが増加することが影響しており、これは日光に当たることでより悪化してしまいます。
妊娠中に気になる方は、外出時に日焼け止めを使用し、帽子等で日光への直接の暴露を避けることが有効です。色素斑の多くは出産後に自然に消えていきますが、一年以上残る場合もあります。

■妊娠線の予防のためには十分な保湿を

妊娠線ができるには、妊娠によってお腹や乳房、お尻の皮膚が引き伸ばされることによる物理的なストレスが影響しています。このとき、皮膚の保湿が十分でないと、引き伸ばされるストレスがよりはっきりと皮膚に生じてしまいます。
そのため、妊娠線の予防には妊娠初期からの十分な保湿が重要です。保湿剤は、市販のクリームなどで問題ありません。肌に合うものを選びましょう。

ただし、出現した妊娠線を保湿によって消すことはなかなかできません。
出産後に多くの場合は消失しますが、中にはずっと残ってしまうものもあります。

妊娠中の皮膚トラブルは、いわゆるマイナートラブルとして扱われます。お母さんや赤ちゃんに重大な影響は与えませんが、やはりストレスの一因になってしまいますし、産後にも残るとなると考えもの。
ぜひ、色素斑や妊娠線について妊娠初期からの対策を練ってみてくださいね。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(産婦人科医 重見大介)

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