産婦人科オンラインジャーナル

2020.09.18

産後の骨盤矯正、本当に必要? -妊娠中~産後の骨盤について-

妊娠中から産後まで、多くの方が気になる身体の変化の1つに「骨盤の変化」があります。
妊娠中から産後に起こる骨盤の変化について詳しくお話しします。

■骨盤は妊娠中から徐々に変化します

骨盤というのは、複数の骨が繋がってできており、子宮や腸を取り囲むような器の役目を果たしています。この骨盤は出産の時、赤ちゃんの頭が通れるように、妊娠中から少しずつ開きます。開くというのは、骨盤の骨どうしが繋がれている靭帯が緩むことで、骨盤の容積が大きくなることを意味しています。

そして、靭帯の緩みには、妊娠中に分泌される「プロゲステロン」や「リラキシン」というホルモンが、影響しています。これらのホルモン分泌に伴う骨盤の開きや、少しずつ大きくなるお腹を支えるために日頃の姿勢が変化する事などにより、妊娠中から腰痛を感じる方も少なくありません。

ストレッチやヨガ等で筋肉をほぐすと痛みが緩和されることもあります。また骨盤ベルトやさらしを巻くことで、腹部の重みが支えられる事により、腰痛が緩和する方もいらっしゃいます。身体に無理のない範囲で、ご自身に合った対処方法を探してみて下さい。

■産後の骨盤は自然に戻る事が多いです

妊娠中に分泌されていたプロゲステロンは出産に伴い急激に減少しますが、リラキシンは産後も分泌され、産後半年程度かけて徐々に減少します。
リラキシンの減少に伴い、妊娠中~出産時に緩んだ骨盤周辺の靭帯は自然と妊娠前の状態に少しずつ戻ります。
しかし骨盤に限らず、妊娠期間に約10ヶ月かけて少しずつ変化した身体が、産後急に戻ることはできません。戻るスピードや程度には個人差があります。

■産後の骨盤矯正は必ず必要なものではありません

産後の骨盤矯正は必ず全員に必要なものではありません。先ほど説明した通り、産後の骨盤は自然と元に戻る性質があるからです。
よく「骨盤の歪みを治そう」というような表現を目にしますが、骨盤は非常に硬い骨で構成されているため、変な方向に「歪む」ことはありません。
また1回の骨盤矯正で骨盤の容積が減ることや、ダイエット効果、明らかな見た目の変化もありません。

妊娠中だけでなく、産後も慣れない授乳の姿勢や赤ちゃんの抱っこが続くことで、骨盤に左右不均衡な力が日常的に加わり、腰痛をはじめ身体の凝りや痛みを訴える方は多いです。
そのような場合は骨盤支持のベルトやインナー、マッサージや整体を利用する事で腰痛緩和やリラックス効果が期待されるかもしれません。

また日頃の授乳姿勢やカバンの持ち方、脚の組み方などを工夫することで、正しい姿勢が保たれることで全身の凝りや痛みが軽減する可能性があります。
日々の生活の中で無理のない範囲で工夫し継続する事が大切です。

さらに詳しく聞いてみたい方は、アプリメニュー内「産婦人科・小児科相談」より、産婦人科オンラインの医師、助産師にご相談ください。

※電話やLINEのメッセージチャット・音声通話・動画通話で産婦人科医または助産師に相談できるサービスです。
※アプリ会員の方は【無料】で産婦人科オンラインをご利用いただけます。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(助産師 崔 賀英)

・Mayo Clinic. Getting in shape after having a baby.

便利でお得なキッズリパブリックアプリのダウンロードはこちら。

産婦人科オンラインジャーナル一覧に戻る