プレママジャーナル

2020.09.04

妊娠中の腰痛の原因・対処法について産婦人科医が詳しく解説します

妊娠中の腰痛は、多くの人が経験する辛い症状の一つでしょう。腰痛の原因は、妊娠による生理的な変化や不自然な姿勢がもっとも一般的ですが、妊娠経過や泌尿器的疾患が原因となることもあります。それでは、それぞれの腰痛やその対処法について紹介していきます。

■妊娠に伴う生理的変化でも腰痛が引き起こされます(体型・姿勢・動作の変化など)

ほとんどの妊婦の方が経験する腰痛は、体型・姿勢・動作の変化などの生理的変化が要因です。
腰椎(腰のあたりにある背骨)や仙腸関節(腰からお尻あたりの関節)に物理的な負担によるものが多いです。
具体的には、以下の3つが挙げられます。

①骨盤の関節や靭帯が緩んで不安定になる
原因:妊娠すると体内で増加するホルモンの影響で、骨盤の関節や骨盤を支えている靭帯などが緩むため
②仙腸関節に負荷がかかる(腰よりやや臀部に近い部分)
原因:骨盤の関節・靭帯の緩みや、大きくなった子宮からの圧迫によって仙腸関節に負担がかかるため
③腰・背中周りの筋・筋膜に負担がかかる
原因:子宮が大きくなることで筋肉やそれを包む膜(筋膜)が引き伸ばされ、体幹を支える力が低下したり、体全体のバランスをとるために背骨を反らせる姿勢になりやすいため

■妊娠中の生理的な腰痛への対処法は主に4種類

生理的な腰痛への対処法は鎮痛剤の使用・筋肉トレーニング・ストレッチ・骨盤ベルトの使用があります。

(1) 鎮痛剤:妊娠中はカロナールなどのアセトアミノフェン製剤の使用が好ましいです。湿布も成分によっては使用可能です。鎮痛剤の種類によっては赤ちゃんへの悪影響の心配が大きいものもあるため、主治医に相談しましょう。
(2) 筋力トレーニング:骨盤底筋群体操や体幹の筋力を無理のない範囲で鍛えることで、腰痛を軽減できます。産後の尿漏れや子宮脱のリスクを減らす効果もあります。
(3) ストレッチ:腰回りの筋肉をほぐすようなストレッチを定期的に行うことで、筋肉のコリをほぐしたり予防でき、不自然な姿勢を見直す機会になります。
(4) 骨盤ベルト:効果には個人差がありますが、腰回りを安定させるために有効な場合があります。メーカーや種類も様々なので、使い方や選び方に迷う場合は妊婦健診の時に助産師へ相談しましょう。

また、浅座り(骨盤が後ろに倒れる座り方)や長時間の横座り(足を横に折り曲げて出し、正座の姿勢をくずして座ること)は腰に負担がかかります。日常生活でもこれらの不自然な姿勢を控えるように心がけるようにしましょう。

■中には危険な腰痛もあります

妊娠中に起きる可能性がある腰痛で、危険な腰痛も存在します。

<妊娠に関連した合併症によるもの>
切迫早産や胎児が骨盤内へ下降することも腰痛の原因となります。子宮が収縮する痛みは、腰痛として現れることもあるので、定期的に繰り返す腰痛や時間ごとに増大する腰痛がある場合は、注意が必要です。また、胎盤が子宮内で剥がれてしまう常位胎盤早期剥離というこわい病気でも、腰痛の症状が現れることがあります。

<泌尿器科的疾患によるもの>
妊娠中に子宮が大きくなると、背中側の左右にある尿管(腎臓と膀胱をつなぐ尿の通り道)を圧迫しやすくなります。尿の流れが悪くなるため、水腎症(尿の流れが悪くなることで腎臓が腫れた状態)や尿管結石ができやすくなり、腰痛の原因となります。このまま放っておくと腎盂腎炎(じんうじんえん)といった重篤な感染症を起こすこともあります。
もし、左右に偏った腰痛がある時や強い痛みがある時は我慢しすぎずに受診するようにしましょう。

このように、妊娠中の腰痛の原因は様々です。一般的な腰痛であれば工夫や治療によって改善する可能性もあります。しかし中には早産や泌尿器科的疾患のように、すぐに診察や治療が必要なものもあります。不安でわからないことがあれば、主治医に相談するようにしましょう。

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(産婦人科医 尾市 有里)

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