「授乳中に甘いものや油っぽいものは控えて。おっぱいが張って乳腺炎になるよ!」「お酒なんてもってのほか!」なんて言われたことはありませんか?そのアドバイス、本当でしょうか?食べ物・お酒と母乳に関する最新知見をお伝えします。
■食べ物と乳腺炎の関係は証明されていません
乳腺炎とは「乳腺に炎症が起きている状態」です。産後3か月以内、特に産後2-3週間で起こることが多いと言われていますが、授乳期間中ならいつでも起こる可能性があります。症状としては乳房の熱感、痛み、腫れ、風邪のような全身の不調(発熱や倦怠感(だるさ))が出てきます。
「甘いものや油っぽいものを食べると乳腺炎が起きる」と日本ではよく言われますが、実はそれを証明する研究はありません。多くは経験談を基に語られるもののようです。
■授乳中はできたら禁酒を!飲む場合は、ビール1缶まで、次の授乳まで2時間以上空けましょう
アルコールによって母乳を作るプロラクチンの分泌反応が鈍くなったり、母乳を通じて赤ちゃんに移行した場合には、赤ちゃんが眠りがちになったり、早期発達に影響を及ぼす可能性があります。
米国疾病対策予防センター(CDC)では、「授乳中はできれば禁酒すること」「許容量を超えた飲酒では児の成長や発達、睡眠パターンに悪影響を及ぼし、母親が安全に児を養育するための判断力を損なわせる恐れがある」とした上で、「節度ある飲酒(1日あたり、ビール350ml1缶程度(アルコール度数5%))の後、次の授乳まで2時間以上空ける」場合には、児への悪影響が報告されていないとしています。
人によって体重やアルコールの代謝能力が大きく異なります。禁酒がストレスにならない程度に、しかし赤ちゃんへの悪影響が起こらないよう、飲酒量や次回授乳までの時間に気を付けてくださいね。
■乳腺炎を起こさないためにできること:正しい姿勢で、間隔を空けすぎず授乳すること
乳腺炎予防には、食べ物を見直すより授乳姿勢や授乳間隔を見直すことが勧められています。赤ちゃんをしっかり引き寄せ、大きな口で乳輪部まで深くくわえてもらい、乳房にたまったおっぱいを飲みとってもらうことが大切です。
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(助産師 中村早希)
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