プレママジャーナル

14週

妊娠中は適切に運動をして、健康なマタニティライフを!

昔は「妊娠中はできるだけ安静にする方が良い」、「赤ちゃんのために2人分食べて栄養を取るべきだ」というような見解が主流の時期もありました。しかし、近年では考え方や社会の認識も変わってきています。
今回は、誰もが気になる妊娠中の運動とエクササイズについて、日本や欧米のガイドラインを元に、具体的な運動方法の例も含めて解説いたします。

■妊娠中の運動にはメリットが多くあり、医学的にも推奨されています

日本の「産婦人科診療ガイドライン産科編2017」では、「妊娠中に少なくとも週に2〜3回の有酸素運動(エアロビック・エクササイズ)を行っている妊婦では、早産率を増加させずに身体機能を増進・維持させることができる」と書かれており、定期的な有酸素運動を推奨しています。アメリカ、カナダのガイドラインでも同様の推奨をしており、「特別な合併症がなければ1日に30分以上の運動を週に数回」行うことができると書かれています。

運動のメリットは大きく以下の3つのことに役立ちます。
1.体力維持
2.心肺機能向上
3.体重コントロール
特に3の妊娠中の適正な体重コントロールは、巨大児(4kg以上の赤ちゃん)の出産によるトラブルを回避したり、帝王切開を減らせたりといったメリットがあると考えられています。
体重コントロールを指導された際、単純に食事を減らす方も多くいらっしゃいますが、「食べるものを減らすのではなく、定期的な運動で体重コントロールを」が重要です。

■合併症がある場合には担当医に確認を!

では、注意点はどういったものがあるのでしょうか。まず、「定期的な運動を行って大丈夫かどうか」を担当医に確認することが必要です。これは、産科的合併症(切迫流早産、子宮頸管無力症、頸管長短縮、性器出血、前置胎盤、低置胎盤、妊娠高血圧症候群など)や、妊娠前からの合併症(心臓疾患、呼吸器疾患、腎臓疾患など)がある場合には、運動によって合併症が悪化してしまう可能性があるためです。安定期を迎えたら、直近の妊婦健診の際に、先生にきちんと確認をしておきましょう。

■ちょうどいい運動ってどのくらい?

日本のガイドラインにはあまり具体的な指標が書かれていないのですが、「妊婦スポーツの安全管理基準(2005年)」には「心拍数で 150回/分以下、自覚的運動強度としては”ややきつい”以下」がいいとの記載があります。アメリカの学会ではより詳しく説明されていて、「週に少なくとも150分を、週5日などに分けて行う」、「妊娠後から定期的な運動を始めてスタートするなら、まずは1日5分程度から開始して、1週間ごとに毎日の運動時間を5分ずつ伸ばしていくのも良い」、「妊娠前からアクティブな運動をしていた女性は、医師の許可のもとで同程度の運動を継続しても良い」というように書かれています。

つまり、「無理のない範囲で、継続的な運動を」がポイントです。
妊娠初期(15週ごろまで)はつわりがあって難しい方もいると思いますが、無理のない範囲で動いてみてください。妊娠中期は、比較的動きやすいです。積極的に運動しましょう。妊娠後期はお腹が大きくなるため、お腹への振動を避け、無理のないゆったりした運動を心がけましょう。

具体的な運動の例を、下にまとめてみました。

 

初期(妊娠8週〜15週ごろ)

中期(妊娠16週〜28週ごろ)

後期(妊娠29週〜)

専業主婦の方など

・家事や買い物
・ラジオ体操やストレッチなど

・次に述べる「勧められない運動」以外の運動

・ウォーキング、水中ウォーキングなど

フルタイムの方など

・通勤や職場での階段使用や早歩き
・ラジオ体操やストレッチなど

・通勤や職場での階段使用や積極的な徒歩
・次に述べる「勧められない運動」以外の運動

・ウォーキング、水中ウォーキングなど

■もっと詳しく(1):勧められない運動

日本のガイドラインには「長時間仰向けになる」、「落下やケガをする恐れのあるもの」、「スキューバダイビング」等は勧められないと書かれていますので、このような運動は避けるようにしてください。これらは、海外のガイドラインでも同様です。また、サイクリングは落下の危険性があるため、エアロバイクが勧められています。

■もっと詳しく(2):アメリカの学会での推奨を詳しく

ACOG FQA(アメリカの産婦人科学会による、一般の方へのよくある質問と回答)には、「妊娠中の運動」という項目があり、以下のように記載されています。

*健康で合併症のない女性であれば、運動によって流産、早産、赤ちゃんの低出生体重を増加させることはありません
*運動のメリットとして、「腰痛の改善、便秘の予防が可能」、「妊娠糖尿病・妊娠高血圧症候群・帝王切開を減らせる可能性がある」、「適正な体重コントロールにつながる」、「全身(心臓や血管も含めて)機能の向上」が挙げられます
*毎週、少なくとも150分間の有酸素運動(中程度〜強め)が推奨されます

以上、妊娠中の運動・エクササイズはとてもメリットが大きく、各国で推奨されていることをお話ししました。注意点を守り、無理のない範囲で、継続的な運動を取り入れてみましょう。そして、ぜひとも健康的なマタニティライフと、出産時・産後の体力向上を目指してくださいね。

産婦人科医 重見大介

<自己紹介>

「妊娠出産を誰もが明るく前向きに迎え、送れる社会」。
産婦人科の医療現場と、公衆衛生学の視点を通して、このような社会を実現する一助になることを、自身の目標としています。
キッズリパブリックから、皆さんのマタニティライフが少しでも安心で明るくなるよう、応援しています!

<略歴>

2010年 日本医科大学 卒業
2010-2012年 日本赤十字社医療センターで初期臨床研修(産婦人科プログラム)
2012-2017年 日本医科大学付属病院 産婦人科学教室- NICU(新生児集中治療室)、麻酔科を含め関連病院で産婦人科医として勤務
2017年4月 東京大学大学院公共健康医学専攻(SPH) 進学
2018年3月 同大学院卒業
2018年4月〜 東京大学大学院博士課程(医学部医学系研究科 臨床疫学・経済学教室)進学

<保有資格>

産婦人科専門医、公衆衛生学修士。
他に、NCPR(新生児蘇生法)インストラクター(Jコース)、検診マンモグラフィ読影認定(千葉県)。

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