2020年8月1日生まれのお子さんからロタウイルスワクチンを定期接種として接種できるようになりました。このロタウイルスワクチンについて簡単に解説します。
(本記事は2020年11月27日に情報を更新しました。)
■ロタウイルスにかかるとひどい下痢、嘔吐を引き起こします
5歳未満のお子さんがロタウイルスに感染すると、急性胃腸炎を引き起こします。症状としては急激な嘔吐、頻回の水様下痢、半数近くのお子さんは発熱することもあります。特効薬はなく、多くは自然に回復しますが、乳児期にかかると重度の脱水、けいれん発作、腎臓の機能低下、脳症などが起きることがあり、その場合は入院が必要です。先進国ではほとんどありませんが、十分な医療が受けられない国では死亡例もあります。
■ロタウイルスワクチンは決まった期間しか接種できない飲むワクチンです
ロタウイルスワクチンの予防効果は非常に高く、ワクチンを導入した国ではロタウイルスにかかるお子さんが劇的に減少しています。
ロタウイルスワクチンには、ヒトロタウイルスを弱毒化した「1価弱毒性生ワクチン(ロタリックス)」と、ウシーヒトロタウイルス使用している「5価生ワクチン(ロタテック)」があります。
1価ワクチンは2回(生後6週以降、4週以上あけて24週までに完了)、5価ワクチンは3回(生後6週以降、4週以上あけて32週までに完了)内服する必要があり、その時期を過ぎると副反応が出てしまう可能性が高くなるため受けられません。
他のワクチンとの接種間隔に関しては、2020年10月よりルールが変更となり、ロタワクチンを接種しても翌日から別のワクチン接種が可能となりました。
■2020年8月1日以降に出生したお子さんは定期接種の対象です
2020年8月1日以降に出生したお子さんはロタウイルスワクチンの定期接種の対象となったため、無料で接種することができます。
ただし、生まれつき腸に異常がある場合や、腸重積にかかったことがある場合、重度の免疫不全がある場合などは接種できません。かかりつけ医に確認しましょう。
■ロタウイルスワクチンの副反応では腸重積に気をつけましょう
とても稀なケースですが、接種したあと(特に初回接種のあと)、1週間以内に腸が腸の中に入り込んでしまう腸重積を起こすことがあります。症状は極端な不機嫌、くり返す嘔吐、ぐったりしてしまう、顔色が悪くなる、便にイチゴゼリーのような血液が混ざるといったものです。万一これらの症状が出現した場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
ロタウイルスワクチンは、お子さんが吐いたり下痢をくり返すつらい胃腸炎の一つを予防できるワクチンです。また皆さんに受けてもらうことで流行を防ぐ効果も高く、集団保育をお考えのお子さんには特におすすめしています。
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(小児科医 竹下淳子)
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