食物アレルギーと言えば、原因となる食物を食べてすぐにじんましんなどの皮膚症状をはじめめとした様々な症状が出現するもの(即時型症状)が有名です。重篤な反応であるアナフィラキシーもその一つです。しかし、食物アレルギーとは一見考えにくい症状が出現する「新生児・乳児消化管アレルギー」という食物アレルギーの中でも特殊なパターンがあるのでご紹介します。
■消化器症状がメインの食物アレルギー
一般的な食物アレルギーは離乳食開始以降の乳幼児期から発症することが普通です。しかし、新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症(消化管アレルギー)という食物アレルギーは、新生児期・乳児期早期、特に哺乳を始めた後から、様々な消化器症状が出現するものです。具体的には、おなかが張る、吐く、下痢、血便、下血といったはっきりとした消化器症状が見られる場合もあれば、元気がなくなる、体重が増えないといった一見すると消化器の調子が悪いとはわかりにくい症状の場合もあります。
■新生児・乳児消化管アレルギーの診断は難しい
上記の症状は、同じ時期に気付かれる「肥厚性幽門狭窄症」や「ヒルシュスプルング病」など様々な病気でも出現するので、慎重に区別して診断しなければなりません。実際に行われる検査は一般的な血液検査、レントゲン検査や腹部超音波検査などの画像検査、原因食物の負荷試験、除去試験が中心となりますが、それだけでは診断を確定することが難しい場合が多いです。より診断の精度を上げる検査としては便検査(便中の好酸球と呼ばれる細胞の有無を調べる)や内視鏡検査(胃カメラ、大腸カメラ)などありますが、専門施設でなければ実施できないかもしれません。
■治療は普通の食物アレルギーと同じ
出現する症状は特殊ですが、実際に診断がついた後に行う治療は、普通の即時型症状の食物アレルギーと同じ「原因食物の除去」が中心となります。状況に応じて加水分解乳など特殊ミルクを使用する場合もありますし、母親の食事制限を必要とする場合もあります。どのように治療をしていくかはかかりつけの先生と相談してみてください。
小児科オンラインはこれからもお子さんのアレルギーに関わる疑問を解決するために情報を発信していきます。
(小児科医 千葉剛史)
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