赤ちゃんがミルクを飲んでいる最中に口からダラーともどしたり、飲み終わった後にケポッっともどしてしまったりしていませんか?
また、しゃっくりが多かったり、呼吸をする際にゼーゼーなどは聞こえていませんか?
このような症状をくり返していたら、もしかしたら胃食道逆流(GER)が原因かもしれません。
【GERは胃の中のものが食道に逆流してしまうことです】
GERとは胃の中の胃液、食べたもの、飲んだものが食道まで逆流してしまう状態です。溢乳(いつにゅう)はGERが口まで達したものです。
GERは1歳までの赤ちゃんによく起こりますが、基本的にはどの年齢でも起こる可能性はあります。一時的なものもありますが、長く続く場合は吐血、呼吸障害や発育不良などを合併する場合があります。その場合は胃食道逆流症(GERD)と呼ばれます。
GERの原因は食道と胃をつなぐ部分の筋肉(下部食道括約筋)が緩んでしまうためと考えられています。
【GERが見られても多くの場合は心配ありません】
GERはとてもありふれたもので、生後4か月の赤ちゃんの半数以上で見られます。その多くの赤ちゃんはGERがあっても、くり返す溢乳以外の症状が見られることはありません。成長に問題がなく、ゼーゼーなども起きなければ、特別な治療は必要なく、成長とともに自然に改善していきます。
【ゼーゼーが聞こえる場合や何度もくり返し吐く場合は小児科の受診を】
保護者の方に覚えていてほしい事は赤ちゃんのGERは異常ではなく、ほとんどの場合は1歳頃から下部食道括約筋が発達することで、GERは自然に軽快するということです。
ただし、胃の中のものが逆流して口まで達しなくても、胃から食道に戻ってきたものがそのまま気管(のどと肺をつなぐ空気の通り道)に入ってしまうこともあります。その場合は赤ちゃんがゼーゼーしたり、肺炎になってしまうこともあります。また、くり返し吐き過ぎて、体重が十分に増えないこともあります。
ゼーゼーが聞こえる場合や、何度もく繰り返し吐くようであれば小児科の受診をおすすめします。
【授乳後の体勢に気をつけてください】
GERかもしれない場合におうちでできる対応としては、授乳後30分程度は赤ちゃんを縦抱き、もしくは上体を起こした体勢で保つと良いでしょう。
また、哺乳瓶で授乳している場合は乳首にミルクを満たしてあげることで、空気をのみこんでしまうことを予防できます。
おむつがきつい場合も逆流の原因となってしまうので、気をつけてみてください。
小児科オンラインはこれからもお子さんの嘔吐・下痢、消化器に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。
(小児科医 田中俊之)
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