小児科オンラインジャーナル

2018.06.12

下痢が長く続いたら二次性乳糖不耐症に要注意

お子さんの下痢で病院に行き、小児科の先生から「胃腸炎ですね、しばらくしたら下痢は自然に治っていきますよ」と言われたものの、下痢だけが長く続いていませんか?

そんな時はもしかしたら二次性乳糖不耐症(にじせいにゅうとうふたいしょう)になっているかもしれません。

【乳糖不耐症は乳糖を分解する酵素が足りないことが原因です】

お子さんが普段口にするミルク、ヨーグルト、チーズなどの乳製品や母乳には乳糖が含まれています。

口から入った乳糖はお腹に運ばれ、腸の中で酵素によって分解され、ブドウ糖などに形を変え、体に吸収されていきます。

この時、腸の中に乳糖を分解する酵素が少なかったり、生まれつき酵素がなかったりする場合は、乳糖が分解できません。乳糖が腸の中で残ってしまい、下痢などを引き起こしてしまう状態を乳糖不耐症と言います。

【乳糖不耐症は先天性(生まれつき)と二次性のものがあります】

お子さんの乳糖不耐症は大きく二つに分けることができます。

一つめは生まれた時から乳糖を分解する酵素がない、「先天性」乳糖不耐症とよばれるものです。生まれた時からその酵素がないため、生まれてすぐから哺乳後にひどい下痢が続いてしまいます。

二つめは「二次性」乳糖不耐症とよばれるもので、胃腸炎などの後に続いて起こるものを指します。そのため、胃腸炎後に下痢が長く続く場合は医師からミルクなどは控えるように指導されることもあります

【ミルクを飲んだ際に下痢が続く場合は、小児科を受診しましょう】

乳糖不耐症を診断する際は、乳糖を摂取した後に下痢や腹痛などの症状が起きることを確認する必要があります。また乳糖を控えることで、持続していた下痢が改善される場合も乳糖不耐症の診断につながります。

二次性乳糖不耐症と診断された場合は、乳糖が含まれない粉ミルクに変更したり、乳糖を分解する酵素を飲み薬で補充することがあります。

特に乳製品を主食とする乳児が二次性乳糖不耐症の場合は、ミルクや母乳が消化吸収されず、栄養不足となる恐れがあるため、下痢が持続する場合は小児科にご相談ください。

ただし、二次性乳糖不耐症は一時的に酵素が弱まっているだけで、時間経過とともに酵素は乳糖を分解できるようになります。あまりご心配なさらないでください。

小児科オンラインはこれからもお子さんのうんちに関する疑問を解決するために情報を発信していきます。
(小児科医 田中俊之)



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