小児科オンラインジャーナル

2018.05.07

「ヒトメタニューモウイルス」小児科医によるカンタン解説

「ヒトメタニューモウイルス」このあまり耳慣れないウイルスについて知っていますか?このウイルスは、ずっと昔から存在したと考えられていますが、発見されたのは2001年とかなり最近です。その後、外来で簡単に検査できるキットが開発されたため、ヒトメタニューモウイルス感染症と診断される機会が増えています。余計な心配をしないで済むように、この得体の知れないヒトメタニューモウイルスとその感染症についてご紹介します。

【ヒトメタニューモウイルス感染症は風邪の一種】

ヒトメタニューモウイルス感染症は風邪の一種です。子どもの咳や鼻の風邪の5-10%が実はこのウイルスが原因であると考えられていて、ありふれたウイルスの一つと言えます。基本的にはその感染症のお子さんが周囲にいたからといって騒ぐようなウイルスではありません。ただ、ヒトメタニューモウイルスの特徴として、激しい咳やゼイゼイなど呼吸の症状が強く出ることがあるので、その症状を見逃さないことが重要です。特にぜんそくの持病があるお子さんは注意が必要です。また、ヒトメタニューモウイルス感染症の合併症として中耳炎が有名です。

【ヒトメタニューモウイルスはRSウイルスに似ています】

ヒトメタニューモウイルスはRSウイルスと近い種類のウイルスです。そのため、ウイルスによって生じる症状も似ていて、両者ともゼイゼイしやすい風邪と言えます。

両者の違いとして、RSウイルスでは鼻汁が目立ちますが、ヒトメタニューモウイルスでは発熱が目立ちます。また、RSウイルスは6ヶ月未満のお子さんの感染が多いですが、ヒトメタニューモウイルスはそれより少し大きい6ヶ月以降の乳幼児の感染が多いです。

日本における流行時期は、RSウイルスが1~4月、ヒトメタニューモウイルスはRSウイルスの流行から1,2か月後の3~6月になることが多いとされています。

【ヒトメタニューモウイルス感染症に対する予防接種や治療薬はありません】

残念なことに、まだヒトメタニューモウイルスに対する予防接種はありません。一番の予防は普段からの手洗いです。

ウイルスを倒してくれる特効薬と言える薬もないので、自分の免疫でウイルスを倒し治すことになります。

【咳が辛そうであれば小児科受診を】

ヒトメタニューモウイルスに感染していると診断された場合、軽い風邪で終わることが多いですが、もし咳が辛そうであれば、喘鳴が出現している(ゼイゼイしている)可能性があります。早めに医師が呼吸音の確認を行った方が良いため、小児科を受診してください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの感染症に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。
(小児科医 橋本直也)



便利でお得なキッズリパブリックアプリのダウンロードはこちら。

小児科オンラインジャーナル一覧へ戻る