小児科オンラインジャーナル

2017.10.19

インフルエンザの薬を使用する前に知っておくべき3つのこと

インフルエンザは時に肺炎や脳炎を引き起こすため、保護者の方が心配になることも多いでしょう。そんなとき登場するのが、インフルエンザの薬です。しかし、

「必ず薬を飲まないと治らないの?」

「お兄ちゃんと違う薬が処方されたけどなんで?」

「副作用や注意することはありますか?」

「昔、インフルエンザの薬で異常行動などがニュースになっていたけど大丈夫なの?」

など使用する上で、気になることも少なくないと思います。そんな疑問にお答えします。

■1. インフルエンザの薬は必ず飲まないといけないわけではありません

インフルエンザは本来こどもの自然の免疫力で治すことができるウイルスです。そのため、薬を飲まなかったから治らないということはありません。

薬を使用することで発熱の期間の短縮、中耳炎の合併率の低下などの効果が期待できます。しかし、重症化や脳炎の予防といった効果の明確な根拠は実はでていません。

発熱から48時間以上経った等の理由で薬を処方してもらえない場合や、こどもが飲んでくれない場合もあります。そんなときも、飲まないと必ず悪くなるというわけではないので安心してください。

■2. お子さんの年齢や持病によって処方されるインフルエンザの薬が違います

病院に行ったら、お兄ちゃんと出された薬が違うなんて経験ありませんか?飲み薬(タミフル)、吸入薬(リレンザ、イナビル)、点滴の薬(ラピアクタ)など様々な種類がありますが、実はその決定には年齢や持病が重要になります。

小学生未満のお子さんは吸入薬をうまく吸うことができず効果を得づらいので、飲み薬(タミフル)を使用することが多いです。(なお、生後2週間から1歳未満のお子さんも2016年12月から飲み薬(タミフル)を健康保険で使用することが可能になりました。)

なお、牛乳アレルギーや喘息などの持病がある方は吸入薬で喘息が悪化する危険性があるため、吸入薬の使用には注意が必要です。薬を処方してもらうときには必ず持病を伝えるようにしましょう。

■3. 薬の使用後も大人の目が届くところで注意深く見守りましょう

インフルエンザの薬を使用していても、まれに脳炎や肺炎などの合併症を起こすことがあります。また、タミフルと異常行動の因果関係も証明はされていませんが、否定もできていません。薬の使用の有無に関わらず、保護者の方の目の届くところでお子さんを注意深く見守りましょう。つじつまの合わない言葉や動き、けいれん、手足のまひなど普段と大きく違う様子があるときは必ず医療機関を受診するようにしてください。

小児科オンラインはこれからもお子さんのインフルエンザに関する疑問を解決するために情報を発信していきます。
(小児科医 西健太朗)



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