小児科オンラインジャーナル

2017.10.09

産後うつ病は誰にでも。出産後のすべてのお母さんに伝えたいこと

産後のこころの変化は多くのお母さんが経験します。赤ちゃんをおうちに迎え、幸せな毎日がやってくると思い描いていたけれど、実際には、数時間おきの授乳、泣き止まない、寝ない、どうしてほしいのかわからない…。出産後のからだと生活の大きな変化は、お母さんのこころにも大きな影響を及ぼします。

【1. マタニティブルーズと産後うつ病の違い】

マタニティブルーズは、産後3日目ごろから、涙もろさや気持ちの不安定さが現れますが、通常は1週間程度で自然によくなります。病気ではなく正常の反応で、産後の女性の半数以上にみられるとされています。

一方、産後うつ病は通常産後6か月以内に始まり、落ち込み、いらいら、不眠、食欲低下などの症状が1-3か月、場合によってはもっと長く続きます。これはホルモンバランスや生活の変化によるものであって、けっしてお母さんの力不足ではありません。

【2.自分に聞いてみて。この1か月を振り返るふたつの質問】

もし自分のこころのしんどさが続いているかも、と思ったら、最近1カ月の自分を振り返ってみましょう。

①気分が落ち込んだり、元気がないと感じたり、絶望的な気持ちになったりすることはありますか
②何かをすることに興味や楽しみをほとんどなくしていると感じますか

いずれかがしばしばある場合には、専門家への相談を検討できるとよいかもしれません。

【3. お母さんのためにも、赤ちゃんのためにも。ひとりで悩まず相談を】

産後うつ病にかかる女性は10-20%で、けっしてまれなことではありません。でも、自分よりも赤ちゃんを優先しなくてはと思うあまり、受診や相談をしないお母さんがとても多いのが実情です。産後うつ病はお母さんだけではなく、赤ちゃんのその後の成長や発達にも、影響を与えるということがわかっています。少しでも心当たりがあると思ったら、ひとりで悩まず、医療機関や地域の保健師さんなどはもちろん、小児科オンラインの医師にもそっと相談してみてくださいね。

小児科オンラインはこれからもお母さんの不安に寄り添えるよう情報を発信していきます。
(小児科医 山口有紗)



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