小児科外来でしばしば「うちの子は毎月風邪をひくんですが、免疫が弱いのでしょうか?」と質問を受けます。しかしお話をよく聞いてみると、医学的に「免疫が弱い」という判断になることは非常にまれです。今回は風邪のひきやすさについてお話しします。
【1. 毎月風邪をひくのはよくあること】
もちろん、毎月お風邪をひくのはご心配だと思います。しかし、風邪を風邪として治すことができているのであれば、深刻な問題はありません。風邪のたびにこじらせて毎回肺炎になり入院しているようなお子さんはほとんどいらっしゃらないと思います。もし、本当に「免疫が弱い」場合は、厄介なばい菌(細菌)による感染をくり返します。厄介な細菌感染とは、肺炎、重症の中耳炎、皮膚にうみが溜まってしまう感染症などです。こういった感染症をくり返す場合には、「免疫が弱い」可能性があります。
【2. 集団生活デビューすると特に風邪の頻度が増えます】
風邪の頻度は、集団生活を始めると極端に増えます。他の子から風邪をもらってしまうためです。だいたい、3歳ぐらいまではよく風邪をひきます。
小さい頃にたくさん風邪をひいたことがその子の将来に悪影響がある訳ではありませんので心配する必要はありません。
【3. 風邪の治りかけに風邪をもらってしまう場合が多くあります】
病み上がりはまた次の風邪をもらいやすい時期です。よく、「風邪が1ヶ月治りません」と伝えられますが、一つの風邪を1ヶ月も治せないということはほとんどありません。実は一つ一つの風邪の治りかけに十分な休息をとれず、間を置かずに連続で風邪にかかってしまい、せきや鼻水が続いているように「見えている」だけの場合が多くあります。
【4. 重症化のサインを見逃さないことが大切】
風邪をこじらせると、肩で息をする、夜にせきがつらすぎて眠れない、数日間高熱が続く、水分もとれないといった状態になります。こういった症状がある場合は、速やかに小児科を受診しましょう。
少しでも風邪を減らすためには、手をこまめに時間をかけて洗うことが何よりも大切です。そして、一度風邪をひいてしまったら、しっかりと治りきるまで休ませてあげましょう。
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(小児科医 橋本直也)
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