台風や豪雨など、最近では毎年のように大きな災害が発生し、備えが必要だと感じた方も多いのではないでしょうか。このコラムでは9月1日の防災の日をきっかけに、2回にわたって子どもを持つファミリーに役立つ防災の知識をお伝えします。今回は、防災備蓄収納1級プランナーのyokoさんに、備蓄のポイントを教えてもらいました。
最低限そろえたい備蓄品のリスト
備蓄は、安全な場所へ逃げるための備えと在宅避難のための備えに分けられます。在宅避難に必要な備蓄量は最低でも3日分。おすすめは1週間分以上です。災害時の持ち出し用と備蓄品として準備しておくべきものの目安は、次のチェックリストのとおり。こちらを参考に、自分の家族構成や性別をふまえてアイテムを揃えましょう。
災害の「備え」チェックリスト
出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/content/000064513.pdf)
首都直下地震等の大災害発生時、東京都が想定するライフライン機能の95%復旧目標日数は「電力7日、通信14日、上下水道30日、ガス55日」。東日本大震災では物資が届くまで1週間以上かかったところもありました。備蓄はできるだけ多くしておきましょう。なお、食品備蓄のコツは普段使いできるものを揃えること。レトルト食品などを定期的に消費して食べた分を買い足していけば賞味期限切れを防げます。また、子どもが食べ慣れたものを非常食にできるというメリットもあります。
備蓄品をしまうときのコツは?
「ローリングストック」という備蓄の方法をご存知でしょうか。備蓄した食品を定期的に消費し、食べた分だけ買い足していく方法です。 ローリングストックを実践しながら、非常時に備蓄品や災害専用品を活用するためのポイントは、次の4つです。
1.消費量がひと目でわかる一覧化収納
食品を重ねて乱雑に収納してしまうと、食品の新しさや消費量がわかりにくくなり、賞味期限切れが多く出てしまいます。そのため食品は、買い足すものの種類と量を把握できるように収納しましょう。缶詰やレトルトなどは、主菜・副菜・スープ・飲料系・調味料など、種類別に浅めのカゴに並べて「一覧化」すると◯。カゴはリビングや廊下に設置されている納戸や、収納棚にまとめて並べるのがおすすめです。どんな食品がどのくらいあるのかひと目でわかる収納が大切です。
2.すぐに取り出せる収納
災害時にしか使わない物であったとしても、すぐに取り出せる場所に置きましょう。収納する場所は、収納場所の下段手前や腰くらいの高さがおすすめ。押し入れの天袋や下段の奥など、台がないと手が届かなかったり、取り出すのに時間と手間がかかったりする場所に眠らせておくのはNGです。
3.分散収納
破損や取り出せなくなるリスクを分散するため、災害専用物は一カ所ではなく分散させて収納しましょう。ひとつは玄関などの避難経路に、ほかのものは寝室、トイレ、廊下収納など、さっと取り出せる場所に置いておきましょう。
4.重いものや壊れるものは下の方に置く
長期保存水やカセットコンロなどの重いもの・壊れやすいものは、収納の上段ではなく下段に収納します。地震の揺れによって落下すると怪我につながるため危険です。重ねるなど、不安定な置き方をしていないかもチェックしましょう。
家族でできる「在宅避難訓練」もおすすめ
家にいながら家族でできるのが「在宅避難訓練」です。水道・電気・ガスを使わないで過ごす、携帯ラジオを使うなど非常時の暮らしを体験してみましょう。ポリ袋でご飯を炊く、食器にラップをしいて食事をするなど非常食にチャレンジするのもおすすめ。子どもが非常時の食事の大変さを知り、防災について考えるきっかけになるでしょう。
防災について家族で話そう
防災は備蓄して終わりではありません。家族の安全のため、ふだんの会話で防災について話すことが大切です。非常食の買い足しも、家族で協力して進めれば防災意識が高まります。災害時の集合場所や連絡方法もあらかじめ話し合っておきましょう。また、毎月1日と15日に体験利用が開放されている災害用伝言ダイヤル(171)を試すのもおすすめ。日常でできることから、家族の命を守る準備をしていきましょう!
●この記事を書いた人
yoko 整理収納アドバイザー・防災備蓄収納1級プランナー
1990年生まれ、東京女子大学卒業。企業勤めをしながら、第1子育休中に第2の仕事として整理収納アドバイザーの活動を開始。普段はIT企業にフルタイム勤務しながら、週末に個人宅向けの整理収納コンサルティングを行っている。「部屋を片付けた先にあるその人らしい人生に繋がるサポートをすること」がモットー。東日本大震災の際、福島県に住む家族が被災した経験から「片付けは防災」だと実感し、防災備蓄収納を取り入れた整理収納プランニングを行っている。