産婦人科オンラインジャーナル

2021.10.27

私の乳首は短いかも?扁平乳頭や陥没乳頭でも母乳育児ってできる?

「子どもが生まれたら母乳をあげたい!でも乳首が短い」、もしくは「乳首が引っ込んでいるけど大丈夫なのかな?」と心配している方もいらっしゃると思います。今回は、乳首の形に悩む方へお伝えしたい母乳育児の方法についてお話します。

■母乳育児の第一歩として自分のおっぱいや乳首に興味を持ちましょう

皆さんはご自身のおっぱいをよく観察してみたことはありますか?普段何気なく過ごしていると、自分の身体を見ることはあまりないと思います。妊娠すると、赤ちゃんがお腹の中で成長していくと同時に、お母さんのおっぱいも母乳育児に備えて発達していきます。赤ちゃんとお腹の変化だけでなく、ぜひおっぱいにも目を向けてみてください。

しかし、自分のおっぱいや乳首の形、大きさについてなど、プライベートでデリケートなことを誰かに相談することってなかなかできないですよね。そんなお母さんたちのもやもやを少しでも解消できるようなお話をしていきたいと思います。

■初産婦さんのおよそ10人に1人が扁平乳頭もしくは陥没乳頭です

いわゆる『通常乳頭』とは、多くの女性の平均的な乳頭で、わずかに突出しているものをいいます。しかし『扁平乳頭』とは、乳輪からの突出がほとんどなく、つるんとした形をしています。また『陥没乳頭』とは、乳輪の真ん中に引き込まれている形をしており、刺激をすると乳頭が引き出されるものを『仮性陥没』、刺激をしても引き出されないものを『真性陥没』といいます。

ある調査では、妊娠中の初産婦の乳頭の状態の実態として、扁平乳頭の人は8.3%、陥没乳頭の人は4.2%という結果が出ており、それほど珍しいことではないのです。

■どんな乳頭の形でも、母乳育児を希望する人は妊娠中からケアをしていきましょう

WHO/UNICEFは、1989年に母乳育児を成功させるための10か条を発表し、地域における母乳育児推進の役割を果たす産科施設を『赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital:以下BFH)』として認定しています。

妊娠中の乳頭・乳房ケアは特に必要無いという報告も聞かれていますが、実際多くのBFH施設で妊娠中の乳頭・乳房ケアを行っています。特に乳頭の柔軟性を促すマッサージをすることで、出産後早い時期からスムーズに母乳育児を始められると考えているからです。陥没乳頭の人に対しては、乳頭吸引器を使用することもあります。

■赤ちゃんは乳輪までくわえるため、乳頭と乳輪を柔らかくしましょう

産まれた赤ちゃんは乳輪まで深くくわえて母乳を飲んでおり、乳頭だけ吸着するわけではありません。そのため、乳頭と乳輪が軟らかく伸びが良い状態なら乳頭の形はさほど影響しないのです。

また、産後のおっぱいの変化によって乳頭・乳輪が張って硬くなってしまう時期もありますが、その時は乳輪を軟らかくする手技(リバース・プレッシャー・ソフトニング)を行ったり、専門家の支援を受けながら、一時的な補助具としてニップルシールドを使用したりします。また、たて抱きやフットボール抱きなど授乳姿勢を工夫することで、赤ちゃんが上手におっぱいを飲む ことができます。
母乳育児を支援する団体のラレーチェリーグでは、柔らかい乳頭と深いラッチオン(乳頭への吸着)が大切だと伝えています。助産師の支援を受けながら母乳育児を行なっていきましょう。

扁平乳頭や陥没乳頭の場合、妊娠中の乳頭マッサージなどのケアは、かかりつけ病院の主治医や助産師と相談しながら行っていきましょう。

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(助産師 木下千紗都)

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