産婦人科オンラインジャーナル

18週

妊娠中のちょうどいい体重増加は自分と赤ちゃんへの贈り物

妊娠中は徐々に体重が増えていくものですが、妊娠中の適切な体重コントロールが大切と言われています。ところが、妊娠前の体格は人それぞれですし、普段と違う妊娠中という状態で、「どのくらい体重を調整すればいいか分からない!」という方も少なくないのではないでしょうか。
ちょうどいい体重の増加は、自分にとっても赤ちゃんにとっても素敵な贈り物になります。ここでは、体重増加の適切な目安と、その重要性についてお伝えします。

■推奨される体重増加量は妊娠した時の体格によって違います

妊娠中は自然と体重が増えていきますが、これは子宮内の赤ちゃんが大きくなることの影響だけではありません。体内の水分や皮下脂肪がたまりやすくなり、子宮内には羊水や胎盤もできてきます。これらを合わせた必須体重増加量は、おおよそ7~8kg程度と考えられていますが、実際にはこれに妊娠前の体格を考慮して計算しなければなりません。

■妊娠前の体格によって「妊娠中の推奨体重増加量」は異なります

妊娠を通しての体重増加量の推奨目安は上図の通りになります。これは、2021年に厚生労働省から新しく出された指針によるもので、以前よりも緩やかな基準に変更されました。
なお、妊娠初期はつわりの時期が重なり、また体重増加に関する学術的なデータも十分でないため、担当の先生と一緒に個別対応をしていくことが大切です。

なお、BMIとは国際的に最も信頼されている体格指数です。
BMI=[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]

■妊娠中の体重は生まれた赤ちゃんが大人になったときの生活習慣病にまで影響があります

ヨーロッパでの研究結果を発端として、近年注目されているのが「妊娠中と出生時の環境が、その子が大人になった時の病気に影響する」というものです。低出生体重児もしくは巨大児では、成人後の肥満や糖尿病などの成人習慣病になるリスクが高まるという報告が増えてきています。また、妊娠中にお母さんの体重増加が著しいと、子どもの5歳時点や17歳時点での肥満が増えるとも言われています。

妊娠中の体重増加は出産のリスク(妊娠糖尿病や帝王切開など)にも関係しますし、長い目で見た場合、赤ちゃんの将来の病気にまでも影響してしまいます。妊娠中から与えられるお母さんの愛情として、体重の大切さをぜひ忘れないでください。
ただ、体重のことでストレスフルになっては他の悪影響が出てきてしまいます。「みんなで赤ちゃんを守るんだ」という意識で、1人で悩みすぎないようにしてくださいね。

・厚生労働省. 妊産婦のための食生活指針. (2021年3月改定)
・DOHaDと疫学. 日衛誌 (Jpn. J. Hyg.) 第71巻 第1号

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(産婦人科医 重見大介)

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