小児科オンラインジャーナル

2022.11.16

子どもの炎症性腸疾患を疑わなくてはいけない場合とその後の対応

世界中で炎症性腸疾患が増えており、そのうち約20%は18歳未満に発症しているといわれています。長期間におよぶ腹部症状がある場合は、以下を参考に医療機関の受診を検討してみてください。

■学童期の子どもで、長期間におよぶ下痢や腹痛、血便、成長障害があるときは注意

炎症性腸疾患は、腸の粘膜に炎症を引き起こす病気のことで、一般的には「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」のことをいいます。

小学生から高校生のいわゆる学童期の子どもに発症することが多いです。

どちらの疾患も自分の免疫が自分を攻撃してしまう"暴走"が、疾患の発症にかかわっているのでないかといわれています。

発症すると、腸の粘膜に強い炎症が生じ、下痢や腹痛、血便などの症状が現れ、就寝後に便意をもよおすこともあります。ひどい場合には、発熱や倦怠感、体重減少などを起こすようになります。

しかし、はじめからすべての症状の特徴がそろっているとは限りません。半年から2年ほどかけて成長速度が緩やかになり、通常期待されるように体重が増えなかったり身長が伸びなかったりすることだけがきっかけで気づかれることもあり、診断がつくまでに時間がかかることがあります。

■診断には消化管内視鏡検査が必須です

炎症性腸疾患は、血液検査やレントゲン検査だけでは最終診断をすることはできません。消化管アレルギーや好酸球性消化管疾患および感染性胃腸炎など、他の病気が否定されたうえで、最終的に消化管内視鏡検査での見た目や、採取した腸粘膜の一部を顕微鏡で確認(病理検査)したときに特徴的な所見があるかどうかで診断が確定します。

一口に消化管内視鏡検査と言ってもいくつかの種類があります。いわゆる胃カメラや大腸カメラのほか、小腸も観察する必要がある時には小腸カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡といった検査をすることがあります。

消化管内視鏡検査を小児に行う際には鎮痛・鎮静剤など全身麻酔に近い準備が必要になることが多いです。検査のメリットとデメリットについて担当医からよく説明を受け、納得されたうえで検査を受けましょう。

■普段から自分の便の状態をよく観察しましょう

治療は基本的に薬物療法です。使用する薬剤は病気の種類や重症度などによって異なり、過剰な免疫のはたらきを抑制する薬剤(ステロイドや免疫抑制剤)や、消化管の炎症を抑える5-アミノサリチル酸製剤などがよく使用されます。近年では、炎症に関わる分子を直接標的とした生物学的製剤なども積極的に使用されるようになってきました。

薬物療法で十分な効果がない場合は、血液中からはたらきの強い白血球を除去して免疫のはたらきを抑制する血球成分除去療法も施設によっては行われています。

症状が強い期間は消化管の安静を図る必要があるため、通常の食事を摂取しないほうが良い場合があります。このような場合には、点滴や経腸栄養剤による栄養管理が必要になります。

炎症性腸疾患に明確な予防法はありません。しかし、食事内容の欧米化や、腸内細菌の乱れなどが関与しているのではないかという説もあります。また、疲れやストレスによって症状が悪化しやすくなることが分かっています。バランスのよい食生活や規則正しい生活を送ることが大切で、日ごろから十分な休息や睡眠を確保するよう心がける必要があります。

学童期のお子さんであれば、あまり自分のトイレ事情について親御さんに話すことはなく、自分の便を詳しく確認しない子が多いので、普段から自分の排泄した便を見るように家庭内で教育していくことも早期発見につながります。

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(小児科医 塩畑健)



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