6か月未満の赤ちゃんは、ただでさえ便がゆるく、回数も多いので、正常範囲なのか胃腸炎なのか判断がつきにくいことがあるかと思います。今回は、それが心配すべき胃腸炎なのか、それとも赤ちゃんにとって普通の便と捉えて良いのか、考え方の基本をお伝えします。
■6か月未満の赤ちゃんの便は個人差が出やすい
便回数に関しては、0-3か月の母乳栄養児であれば5-40回/週、人工ミルク栄養児であれば5-28回/週、6-12か月児であれば5-28回/週ぐらいが目安と言われ、正常範囲にかなり幅があります*。
便の見た目についても、腸が未熟であるため水分が吸収されず、特に生後3か月ごろまでは水っぽい便となりますが、その程度は様々です。
■「普段より」回数が多くゆるい便が2,3日続いていれば胃腸炎かもしれません
便の回数や見た目に関して、正常範囲自体にかなり幅があるため、回数や見た目だけでどこから胃腸炎と呼ぶかの厳密な定義はありません。大切なことは、そのお子さんにとっての普段の状況からの変化とその継続期間です。普段の倍の便回数になった状況が2,3日続いている、ということであれば胃腸炎の可能性があります。便の見た目についても同様で、いつもよりゆるい状況が2,3日続いているのであれば胃腸炎の可能性があります。
■くり返す嘔吐もあれば胃腸炎の可能性があります
胃腸炎では、嘔吐が起きることもあります。赤ちゃんの場合は、普段から哺乳のあとに少し口からミルクが出たり、吐き戻すことがあり、嘔吐かどうかの判断が難しいかと思います。飲む力が弱い、飲みたがらない、という状態に加え、飲んだあとに噴水のように嘔吐する、という状況が2,3回続くようであれば、ただの吐き戻しではなく嘔吐がある、と考えます。嘔吐があるのであれば、胃腸炎の疑いがありますし、胃腸炎としても少し重い症状の可能性があります。
■哺乳・嘔吐に問題がなければ緊急性は高くありません
上記から胃腸炎を疑った場合、次に大事なことはその緊急性の判断です。このとき、便回数や便の見た目の変化よりも、哺乳と嘔吐の状態を重視して考えてみてください。
便回数が増え、ゆるい便になっているけれど、哺乳は問題ない、という状況であれば緊急性は高くありません。ただし、そうした状況が1週間続いてしまうのであれば受診してください。
嘔吐がある場合は、一回に飲ませる量をぐっと減らして、少量ずつ小分けにして飲ませてください。それでも嘔吐が続く場合や、見た目のぐったりが強い場合は小児科を受診してください。
小さな赤ちゃん、特に生後6か月ごろまでは便の状況が様々に変化します。基本的にはきちんと哺乳ができていて、体重が増えているのであれば大きな心配はいりません。
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(小児科医 橋本直也)
日本小児栄養消化器肝臓学会, 日本小児消化管機能研究会編集「小児慢性機能性便秘症 診療ガイドライン」2013年
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